2017年3月18日土曜日

テニュア(Tenure)の審査はどのように行われるか〜第4部〜

約4ヶ月ぶりにブログ再開。

というわけで、テニュア審査編の第4回目。

まずは前回の復習。前回書いたように、審査委員会が基本的に以下の3点を作成する。

1.審査対象者の研究実績や教育、その他の活動内容をまとめたレポート
2.審査対象者のteaching letter
3.他大学の数学者からの推薦状

で、前回は1と2について書いたが、今回は3について。

ここにあるように、他大学の数学者からの推薦状が必要となるのだが、これに関しては一定のルールがある。

ルール1:誰に推薦状を書いてもらうかは基本的に審査委員会が決定し、審査委員が推薦者に直接依頼する。

ルール2:誰が推薦状を書いたかは、審査対象者には最後まで通知されない。

ルール3:公平を期すために、審査対象者に近い人は推薦状を書いてはいけ無い。例えば、審査対象者の大学院時代の指導教官、共同研究者、ポスドク時代のsuperviser、かつての同僚、といった人たちは推薦状を書けない。

ルール4:推薦状の数に決まりは無いが、だいたい6〜10通ぐらいが標準てきである

ルール5:そのうちの数通はアメリカ国外からであることが望ましい。

ルール6:基本的に、それになりのレベルの大学で最低でもFull Professor(数学者への道の第6ラウンド)の地位を得ている人。


とまぁ、そんな感じなのだが、もう少し詳しく書くこと、以下の感じになる。

基本的にはまず、審査対象者が推薦状を書いてくれそうな人を何人かリストアップして、その内の何人かと、そのリスト外の何人かに審査委員会が直接推薦状を依頼して最終的に誰が推薦状を書くかを決定する。

私の場合はまず私が8人ほどの上の条件を満たす数学者のリストを提出して、審査委員会がそのうちの4人に依頼をして、この8人以外からさらに4人に依頼し、合計8人が推薦状を書いたとのこと。

「とのこと」と書いたのは、ルール2にあるように誰が過推薦状を書いたかは、私には知らされていないからである。ただ、8人というのは知らされたが。

といっても、数学者の世界とういのは研究レベルではかなり狭い世界で、まぁ、だいたい誰が書いたかはある程度の予測はできたりもするのではあるが。

ちなみに、推薦状を書く側にとっては、実はこのような依頼を受けるのはそれなりに名誉なことでもあったりもするのだが、このことは別の機会にもう少し詳しく書くことにする。で、さらにちなみに、かなりの大数学者(例えば数学者への道で最終ラウンドまでたどり着いたような人)ともなると、毎年のようにこのような推薦状の依頼が結構な数舞い込んでくるとになるらしい。

話がすこしそれたが、上のルールで特質すべきはルール3だと思う。ここにあるように「身内の人間」は除外される決まりなのである。ちなみにアメリカの大学では推薦状はいろいろな場面で必要になるのだが、テニュア審査以前のレベルではこのようなルールは基本的に存在しないのだが、テニュア審査以降はこのルールが採用される習わしになっている。

まぁ、そんな感じで推薦状が集められ、テニュア審査に必要なすべての書類が揃うことになる。

審査委員会が結成されてから、これらすべての書類が揃うまで、だいたい1年ぐらいかかることになる。


というわけで、第5部へと続く。


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