2011年4月18日月曜日

日米大学比較〜総合大学と単科大学

今回は日米大学比較シリーズ。

総合大学と単科大学に関して書くことにするが、このことは日米の大学で大きな相違点の一つでもあると、私はつくづく思っている。


日本の場合


日本の場合、大学によっては総合大学の所もあるし、単科大学の所もあるし、また、その中間みたいな場所もあり、かなりいろいろなパターンがある。

東大や京大、早稲田や慶応は言うまでもなく、一般的な大学(日大とか)でも一つの大学が人文、社会、理学、工学、その他もろもろ、文理を問わず一通りの学問分野を有するような大学が基本的に「総合大学」と分類されている。

さらには、これらのような、完全な(?)総合大学とまではいかないまでも、それに準ずるような大学も多数ある。かなり一般的なのは日本で言う「理系」か「文系」の学部・学科のみを有するような大学。理系であれば、東工大とか東京理科大とか、文系であれば一橋大学とか、いわゆる名門大学と言われる大学の中にもこのような大学は存在する。

そして、さらには、単科大学、つまり基本的に一つの分野のみに特化したような大学もたくさんある。東京外語大学とか名門と呼ばれるような大学の中にもある。

もちろん、「単科」とまで言わないまでも、「2、3科」ぐらいの場所もある。「経済学部と法学部だけを有する大学」みたいな感じで。

あと、芸大、音大、医大といった感じの大学も「単科大学」と言えると思う。

と、こんな感じでいろいろなパターンがあるが、残念ながら日本の場合、総合大学であっても、入学の際に専攻学科を決めさせられるのが一般的である上に、入学後にその変更も難しく、授業の履修も、各学生の所属学科によってかなり限定されてしまう場合が多いため、結局、「学部・学科が異なれば別世界」的なところがある。

さらには、総合大学やそれに準ずるような大学であっても、A学部とB学部はXキャンパス、C学部とD学部はYキャンパス、みたいな感じで、それぞれの学部・学科がいくつかのキャンパスに分散されてしまっている大学も多く、この場合、結局「総合大学」とは言っても、事実上は「複数の学部・学科を一つの大学が経営している」だけになってしまっているようにも思える。

そう考えると、学生にとっては総合大学だろうが、単科大学だろうが、結局あまり差はないようにも思える。



アメリカの場合


アメリカの場合はUniversityやCollegeを名乗るような場所であれば、基本的に全て総合大学であるのだ。


名門と呼ばれるような大学はもちろんのこと、地方にある小さな大学であっても、全てと言っていいぐらい、総合大学なのだ。というか、私はこの例外を聞いたことがない。

そして、さらには、短大であっても、基本的な学部・学科を全て有する総合大学であったりする。

例えば、以前私が、コロラド州へのドライブの帰りに立ち寄った、小さな小さな短大(参照記事)。この短大の名前はCobly Community College。で、この大学のホームページで専攻できる分野のリストをチェックしてみればわかるが、人文、社会、理学、工学はもちろん、農学や、医学や歯学の基礎、さらにはArtやMusicといったような日本だったら芸大や音大にでも行かない限り学べないようなことまで学べてしまうのである。こんな、地平線以外何も無いような場所にぽつんと存在する小さな短大だって、このような感じの完全な総合大学なのだ。

さらに、以前からこの日米大学比較で書いているように、学部・学科の垣根を超えた自由な履修が可能な環境があるため、ただ「複数の学部・学科を一つの大学が経営している」という訳ではなく、学生達は、実に幅広い選択肢の中から様々な分野のことが学べる仕組みになっているのだ。

もちろん、それぞれの学部や学科がいくつかのキャンパスに分散されていることもなく、全ての学部・学科が地理的に同じ場所に存在するのだ。


このような点も日米における大学のあり方の大きな相違点だと思える。


補足

アメリカにおいて例外としては、大学においては法学部と医学部を有さない場所は多々存在する。例えば私が現在所属するPurdueには法学部と医学部は存在しない。が、これはある程度知られている(?)と思うのだが、アメリカでは法学と医学の専門課程は大学院から始まる。これが、いわゆるLaw SchoolとMedical School。そのため、大学によってはLaw SchoolやMedical Schoolを有さない大学も多数あるのだ。が、このことについてはまた別の機会に詳しく書くことにする。


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3 件のコメント:

わるもの さんのコメント...

はじめまして。日米大学比較とても興味深く読ませていただきました。私は(最近アメリカへ引っ越してきたばかりなのですが)カナダで博士号を取得し、今後も北米にいたいと思っているので、時々北米と日本の大学の違いや教育システムの違いについて考えています。数日前に私のブログに、日本の大学での出席点のことについて書きました。謎の数学者さんは、日本の大学はなぜ出席をとると思われますか?お時間のあるときでまったくかまいません。ご意見を聞けるのを楽しみにしています。(http://warumono9.exblog.jp/15407688/)

謎の数学者 さんのコメント...

わるものさん。コメントありがとうございます。

出席に関しては実はそのうち、この日米大学比較でも書こうと思っています。

ちなみに、私は実験として一度だけ、毎回出席を取ってみたことがあります。そのことも、そのうちに書こうと思っていますので、ちょくちょくこのブログをチェックしてみてください。

わるもの さんのコメント...

コメントありがとうございます。楽しみにしています。