2016年5月4日水曜日

アーベル賞に思う事

ちょっとタイミングが遅くなったけど、先々月、今年のアーベル賞受賞者が発表された。今年の受賞者は数学関係者でなくても名前は知っているかもしれない、あのフェルマーの大定理を証明したアンドリュー・ワイルズ

ところで、そもそもアーベル賞とは何か?

よく知られているようにノーベル賞には「ノーベル数学賞」なるものは存在しなり。何故そうなったのかに関しては諸説有るのだが(興味がある人は調べてみてください)、とにかく無いものは無いいのである。

その代わり(?)に数学にはフィールズ賞なるものが一応「数学のノーベル賞」とされている。が、フィールズ賞は4年に一度だけしか与えられない上に、40歳以下という厳しい年齢制限が付いている。さらに賞金もノーベル賞と比べてかなりしょぼい。というのも本来フィールズ賞は「数学のノーベル賞」のようなものではなく、若手数学者を奨励するためのもので、いわば「数学の新人王」のようなものと解釈するのが正しい見方なのである。(ちなみにこのことは、だいぶ以前にフィールズ賞に思う事で書いているので、参照して頂きたい。)ところが、いつからからかは知らないが、フィールズ賞が数学のノーベル賞と位置づけられるようになってしまったのである。

でもやはり、フィールズ賞が数学のノーベル賞にされてしまうのは問題がある訳で、だからかどうかは知らないが、「本当の意味での数学のノーベル賞」を、という意図で(多分)約10年ちょっと前から始まったのがアーベル賞である。

アーベル賞には年齢制限のようなものもなく、賞金もノーベル賞並み。さらに、4年に一度ではなく毎年誰かに授与される。

そして第一回のアーベル賞は2003年にジャン=ピエール・セールに与えられた。(ちなみに私は以前、このセールとビリヤード対決をしたことがある(参照記事)。って、そんなつまらない自慢話はさておき...。)


で、今年のアーベル賞はアンドリュー・ワイルズに与えられたのである。


そして、過去のアーベル賞受賞者はウィキペディアに載っている通りである。

で、この受賞者リストを見て思う事は「まぁ、そうだろう」である。第一回のセールから今年のワイルズまで、基本的に「アーベル賞を取ったけど、だからどうしたの?何の不思議もないでしょう?」と思うのである。

つまりどういう事かと言えば、例えば今年のワイルズ。別にアーベル賞を取った所で、今更ワイルズの数学者としての偉大さの何かが変わる訳でもなく、賞を取ろうが取るまいが、ワイルズの功績がどれほどのものかは(数学関係者なら)誰だって知っている訳で、アーベル賞を取った所で、言ってみれば「今更?」な感じなのである。


数学以外のもので例えてみれば、(日本にもアメリカにも)野球殿堂なるものがある。現役を引退したある一定期間を過ぎた野球選手が選出されるのではあるが、例えばイチローが現役を引退し殿堂入り資格を得れば、間違いなく殿堂入りするであろう。(清原のような事でもしない限り。)でも、その時にはおそらく誰もが「イチローが殿堂いり?そりゃそうだろう。今更驚く事でもないだろう?」ぐらいに感じるように思える。


アーベル賞は結局このようなものに思えるのだ。


つまり、フィールズ賞が「数学の新人王」ならばアーベル賞は「数学殿堂」。


いずれにしても、数学という学問は他の学問分野と比べて「研究業績の評価が分かりやすい」分野で、アーベル賞のような賞があってもノーベル賞のようなものとは一線を画すようなもので、別に大騒ぎするようなものでも無い様に思っているし、実際、数学者の間でも対して大騒ぎにはなっていなかったりもする。そう、数学は「分かりやすい世界」であり、アーベル賞のようなものがあってもなくても、何が変わる訳もで無いのである。



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2 件のコメント:

あずぴか さんのコメント...

へー、アーベル賞ってノーベル賞をパロって付けた名前じゃなかったんだね〜(笑)。失礼しました(^人^)
受賞した人以外にも賞に値する位努力を重ねた人達がいっぱいいるんやもんね〜。でも数学界の人にとっては当たり前な事でも、知らない人々にとってはそういう賞がキッカケで興味を持つ人達もいるから。(o˘◡˘o)
そういう意味では賞があっても良いんじゃないかなぁ?
それにしてもフィールズ賞との金額の違いにビックリ‼︎

海月 さんのコメント...

ワイルズですか。ワイルズの話は、サイモン・シン著『フェルマーの最終定理』青木薫 訳(新潮社)で読みました。ワイルズの話は感動的ではないですか。ワイルズの言葉で「これで終わりにしたいと思う」がカッコよすぎる。

数学の賞には遠く及ばないものの、私も数学の勉強を頑張りたいです。