前回の日米大学比較第一回目では、授業時間の違いについて書いたが、今回は、学期中に出される授業での宿題について。
ちなみに、前回と同様、今回も通常の講義中心の授業での宿題についてであって、実験とかゼミとかといった特殊な形態の授業ではないので、ご注意を。
また、ここで言う宿題とは、学期末とかに提出する(期末試験代わりの)レポートのようなものを指すのではなく、学期中に定期的に出される宿題のことを指します。
日本の場合
まず、日本の場合から。日本の大学では通常の授業では宿題が出されることは、ほぼ皆無に近い。たまに、ちょっとしたレポート提出みたいのがあるけど、かなり軽め。数学や物理のような科目でも、まぁ、ちょっと演習問題を解いてそれを提出するぐらいのが、多くてもせいぜい隔週であるぐらい。
でも、宿題なんて全く無いのが基本。
基本的に日本では、教授が講義をして、それが学期の初めから終わりまで続くだけ。学生に要求されるのは、基本的に授業に出席して、ノートを取ることぐらい。
そんな感じだから、前回に書いた1コマ90分の授業を1日に2~4コマぐらい月曜から金曜まで合計10~18コマぐらい履修する感じになる。
アメリカの場合
日本とは異なりアメリカではこの宿題が授業のメインとなる。
アメリカではほぼ全ての授業において、毎週宿題が出される。これは、授業のレベルにほぼ関係なく、また、学部レベルだけでなく大学院レベルにおいても、同様。さらに上のレベルに行けば行くほどに、宿題の量と質ともに、どんどんキツクなってくる。
具体的には、数学のような科目であれば、教科書の章末問題のようなものから問題がピックアップされ、宿題として出されることになる。一番典型的なパターンは、毎週一回授業の初めとかに宿題を提出する事になる。
もちろん、場合によっては、毎回宿題を提出しなければいけない授業もある。つまり、週三回、月水金の授業なら、週三のペースで宿題を提出しなければならない。これは結構きつい。って、私が今学期受け持っている線形代数の授業では、毎回宿題提出にしているけどw。
でも、もちろんこれは数学の場合であって、他の科目の場合はどうかというと、例えば、コンピュータサイエンスのプログラミングの授業を履修したら、ほぼ毎週、何らかのプログラムを書いて提出しなければならなかったりする。
それ以外には、いわゆる、人文系や社会系の授業では、教科書や論文の類を読むことが中心となるため、「次の授業までに、教科書○○ページから××ページまで読んできなさい」的な感じの宿題が出される。このタイプの宿題を一般にreading assignmentと言ったりする。
また、reading assignmentだけでなく「読んだ内容をレポート数ページ以内にまとめたもの提出しなさい」的な感じの、いわゆるwriting assignmentも出されることがある。
まぁ、教科によって、また同じ教科の中でも、各授業によって内容や量にある程度のバラツキはあるものの、アメリカの大学では基本的にこの宿題に追われるだけの日々が永遠と続くことになる。
基本的に前回説明した一週間に150分の授業であれば、大体授業時間の2~3倍の時間を宿題に費やすことが要求される。つまり、各授業あたり一週間に5~8時間ぐらい。
そんな理由により、アメリカでは学部の場合、毎学期せいぜい履修する授業数は4~5コマぐらいに限られてる。実際、講義の時間が150分で、仮に宿題に8時間(480分)必要だとしたら、授業一つに対して講義の時間と合わせて合計630分(10時間半)という計算になる。もしそれで授業5コマ履修したら、全部で52時間半ってことになる。つまり土日も休まず勉強しても毎日7時間以上は勉強の時間ってこと。
そう、アメリカの大学は皆そんな感じの日々を送る事になるのだ。
で、これは基本的に学部の場合であって、これが大学院になると、さらに過酷さを極める事になるのだが、大学院の事は、また別の機会に書くことにする。
まぁ、そんな訳で、各学期、履修する授業の数自体は日本よりも少ないが、授業外でやらされること(宿題)がやたら沢山あり、それがメインになるのがアメリカの大学である。
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7 件のコメント:
日本の大学では宿題ってのがほとんどないんですね。
となると、怠け者はとことん怠け者になってしまいそうですね。自由時間があるっては、やる気のある生徒にはまた良いことではあるかもしれませんが。自分のやりたい勉強をできますし。
確かに、アメリカの大学では宿題に永遠に追われる日々ですよね...
個人的に、宿題をやるってのは好きではないですが、宿題をきちんとやることによって沢山学んだと思います。(当たり前なことですが) そして、授業にいる時よりも、宿題をやってる時の方がちゃんと自分が理解してるか確認できる時だと思ってます。
結論的に、宿題があったほうがいいかも、と思ったり^^
確かに、大学院での宿題は学部生の宿題よりもキツいようにみえます。実際、自分自身、山ほどやる宿題と戦いながら生活を送ってます。笑
アメリカの方が仕組みとして優れているのは同意です。日本は自分で興味があることを勉強するのが基本なので優秀層のモティベーションや自主性は日本の方が上でしょうけど。日本は授業があまり体をなしていないとも言えますね。
宿題は隔週の授業も結構あるのでは?
僕は宿題は毎週出しますが集めないです。その代わり、毎週1回15-20分のクイズをやる。うちの大学はTAなしで少人数クラスという方針なので
毎週、宿題を採点するのは教員の負担の点から無理なので多くの教員がそうしています。
コメントありがとうございます。
Yusukeさん。
大学院大変かもしれませんが頑張ってくださいね。
Willyさん。
確かにTAがいないと宿題の採点は大変になりますね。ちなみに、Purdueでは今学期からWebAsignという学生がオンラインで宿題を提出システムを採用し始めました。TAの負担が減りました。
はじめまして、ウラニウムと言います。現在18歳の受験生です。僕は将来、数学者か物理学者を職業としていきたいと考えています。それに加え、アメリカの大学で学びたいと考えているのですが、実は僕は高校中退をしていまして、その後高卒認定(旧大検)を取得しました。しかし、アメリカの大学に直接入学するには評定がとても低いため、いったん日本の大学に入学して、大学院からアメリカに渡ろうと考えています。
そこで、日本の大学はアメリカの大学と違い、入学時に学科を決めなくてはならないところがほとんどだと思うのですが、物理科か数学科で迷っています。できれば大学に入って、大学以降の数学・物理学を学んでから、それ以後の進路を決めたいところなのですが、そうもいかないので困っているのです。謎の数学者さんは、学部では工学系にいたということを見たので、「数学をどのように学んで行ったのか」、また現役数学者として「アメリカの大学(大学院)に入る為に必要な知識のレベル、資格等」教えていただけないでしょうか。
ウラニウムさん。
日本の高卒認定がアメリカでどう解釈されるのかは分かりませんが、アメリカには学費さえ払えば、誰でも入れるような大学や短大(community college)も沢山あります。
そして、そのような大学で良い成績を取れば、かなり有名な大学に編入(transfer)することも可能です。この編入制度についてもそのうち書こうと思うのですが、アメリカの大学の制度は日本とは比較にならないほど柔軟なため、経済的に可能ならば、高校時代の成績などあまり気にせずにアメリカに来てみるのも一つの方法なのではないでしょうか?
私も日本で数学は専攻しなかったので、アメリカのそれほどレベルの高くない大学(SFSU)に入りそこで一からやりなおしたような感じでした。
ちなみに、私が留学した経緯に関してはこのブログでも宣伝している「理系大学院留学~アメリカで実現する研究者への道」にも書いてありますので、もしよければ読んでみてください。
お返事ありがとうございます。
コミュニティカレッジだと、成績に関係なく入れるところもあるのですね。ただ、高卒認定の成績がアメリカで適用されるのかがわからないので、そこは調べてみる必要がありそうですね。
英語力にも自信があるわけではないのですが、直接アメリカの大学に入学することも検討してみます。
ちなみにオススメのコミュニティカレッジはありますか?
ウラニウムさん。
アメリカにはコミュニティカレッジは星の数ほどあるため、私にもどれが良いのかは分かりませんが、多くの州立のコミュニティカレッジは、地元の4年生の大学と提携してGPAがある一定以上であればほぼ無条件で編入を認めてもらえる場所も沢山あります。基本的にはそういうコミュニティカレッジあたりを狙ってみてはいかがでしょうか?
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