2011年4月4日月曜日

日米大学比較~二重専攻と副専攻

超久々に日米大学比較シリーズです。前回から何と、約4ヶ月間ぶりになってしまったが、とにかく、日米大学比較シリーズはまだまだ続きます。

まずは、前々回書いた日米の授業履修システムについてのおさらい。

基本的に日本においては、各学生の所属学科と学年によって履修できる授業が決まっており、その中から授業を履修してくシステムになっている。

それに対しアメリカでは、各授業ごとにprerequisiteと呼ばれる、その授業を履修するための必要条件見たいのが決められていて、それさえ満たせば、専攻分野や学年などに関係なく誰でもその授業を履修できるシステムになっている。例えば「線形代数2」の授業を履修したければ「線形代数1」がprerequisiteとなっていてそれさえ満たせばOKみたいな感じで。


このことを頭に入れた上で、今回の日米大学比較は「二重専攻と副専攻」について。


日本の場合

日本の大学のみを知る人はそのもそのこの「二重専攻」とか「副専攻」って何?って思った人もいるかもしれない。そう、日本の大学にはそもそもこのような制度は存在しないし、そんな概念すら無いようにも思える。

基本的に「二重専攻」は二つの異なる分野を同時に専攻することで、「副専攻」とは専門分野以外に、別の分野を専門とまでは言わないまでも、ある程度のレベルまで修めること、とでも言えばよいだろうか。

そして、アメリカにおいては二重専攻も副専攻も一般的に行われている事なのだ。

という訳で、

アメリカの場合

二重専攻は英語でdouble major。副専攻はminor。

では具体的にこれらはどのように行われるかを以下に書こうと思う。

まず、一番初めに書いたように、アメリカの大学における授業履修はprerequisite制とでも呼べる制度になっている。そう、ただ授業を履修するだけなら、prerequisiteさえ満たせばどの学生でもその授業を履修できてしまうのだ。

で、基本的にアメリカの大学で各分野で学士号を取るというのは、各学科ごとに決められた卒業に必要な授業で単位を取るということで、prerequisite制というシステムの中では、上手くやれば二つの異なる学科で卒業に必要な単位を取ることだって十分に可能になる。これがdouble majorと呼ばれているものである。

つまり分かり安くいえば、単に二つの分野で卒業に必要な単位を取れば、二つの分野で学位がもらえるってこと。

また、さすがに二つ専攻ってのはちょっとしんどいけど、学位認定までとは行かなくても、その半分ぐらいまで取れば、minorという形で学位におまけのようなものが与えられる。これが副専攻。厳密には、各学科ごとにminorを取るための条件は具体的に決められていて、別に正確に「専攻の半分」って意味では無いのだが、まぁ、感覚としてそんな感じって事。


基本的にはアメリカの大学における自由な履修システムの中でこそ可能な制度のようにも思える。


ところで、二重専攻というからには、通常の倍の単位を取らなければいけないのか?と思うかもしれないけど、基本的には、例えば一般教養の単位はどの専攻でも共通だったり、また、ひとつの授業が二つの分野の学位に必要な単位としてカウントされる場合も多々ある。

例えば、数学の必修科目の授業のいくつかは物理の選択科目単位としてもカウントされる、みたいな感じで。

そのため、上手く授業を組み合わせて行けば、二重専攻と言っても、実際に必要な合計単位数は、専攻が一つの場合よりも少し多いぐらいで収まることも多々あるのだ。

特に、二つのある程度近い分野(例えば数学と物理とか)を二重専攻、又は、片方が主専攻でもう片方が副専攻、みたいな感じにすれば、二重専攻や副専攻は、かなり可能になるし、実際、多くの学生が行っていることなのだ。

典型的な、二重専攻や主専攻と副専攻の組み合わせは、数学がらみで言うと、

数学と物理、数学とコンピュータサイセンス、数学と経済学、数学と哲学、数学と心理学、数学と生物学

といった辺りがよく見かける例だと思う。


でも、この理屈で言えば、二重専攻どころか三重専攻や四重専攻とか、副専攻を2つや3つ、なんてことも可能になるのだが、実際問題として三重専攻以上はさすがに(4年以内で卒業することを考えたら)無理だろうし、また大学が(授業を履修するだけなら自由だが)学位を出すという点においては三重専攻は認めていない場合もある。

が、私の友人で一人、学部時代、なんと数学と哲学と化学の三重専攻をしたという人がいるから、三重専攻も不可能ではないようにも思える。ちなみにこの友人はその後、Yale大学の大学院(数学)に進みPh.Dを取得したほどであるから、彼がいかに優秀で勤勉な人物かが良く分かる。

また、副専攻を2つというのは、意外と可能で、たまにそういう例は見かけたりはする。


以上のような感じで、二重専攻や副専攻が行われて行くのだが、この事からも、アメリカの大学のシステムって、日本とは比べ物にならないぐらい自由で柔軟性に富んでいる事が分かる。


ブログランキングに登録しています。
ここをクリックするとこのブログに票が入るので
みなさん、清き一票を。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
人気ブログランキング

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

都内W大学の学生です。
一応、副専攻はありますよ。
ご参考までに。

謎の数学者 さんのコメント...

匿名さん。

確かに表面的には「副専攻」かも知れませんが、かなり限定的なもので「副専攻」という言葉を使っているだけで、アメリカのような制度とは異なるように思いますが、いかがでしょうか?