2011年5月19日木曜日

日米大学比較〜一般教養

皆さん、こんにちは。今日は、日米大学比較シリーズです。このシリーズも今回で10回目になりました。で、今回は一般教養について。

日本の大学で一般教養は通称「般教」。アメリカではGeneral Educationと呼ばれており通称"GE"。

日本のほとんどの大学でもやはり一般教養科目を履修することが義務づけられており、アメリカでも基本的に全ての大学でGEの授業をある一定の単位数履修する必要がある。

が、日本とアメリカにおいては、この一般教養の意義やそのあり方に大きな違いがあるのだ。


日本の場合


最近では、日本のでは一般教養のあり方も変わってきて、以前(私が学生だった頃)よりもだいぶ一般教養の要求量も少なくなってきたと聞くこともあるし、また、各大学ごとによっても結構異なったりもするようなのではあるが、概して言えることは、「一般教養科目」として専門科目とはいわば「別枠」になっているのが基本のように思える。

つまり、「一般教養の社会学」とか「一般教養の心理学」とか「一般教養の数学」のような感じで。

また大学によっては「教養課程」なるものが独立に存在する所もある。

さらには、前回書いたように日本の大学には総合大学でない大学も多数存在する。そのような大学では、一般教養科目自体も、各学部や学科ごとにオファーされることも珍しくない。

例えば、私は日本の大学では工学部だったのだが、一般教養の授業などは酷いものだった。社会学とか心理学とか経済学とか、工学部生向けの一般教養の授業ああり、そのような(かなり少ない選択肢の)中から、いくつかを選択して履修するというものだった。

さらには「一般教養課程用の教員陣」みたいな人たちがいて、このような人たちが一括して一般教養の授業を担当したりしていた。

当然、授業を受けてるのも全員工学部の学生。そのため(全員では無いにしても)多くの学生はほとんど興味もなくただ必修させられる。

そのため、教える教員の方も(全員では無いにしても)やる気がない。今思えばのことなのだが、工学部生向けの一般教養の授業なんて担当したくないけど、大学教員としての職を見つけるのは極めて大変(そのことは現在の私には痛いほどよく分かる)だし、そんな中、なんとか得られた職だから「背に腹は代えられない」ぐらいの気持ちで仕方なく教えていたのでは、と思える人たちも沢山いたように思える。

そんな状況下で、教員のやる気無さが、学生のやる気無さをさらに拍車をかけ、それがさらに、教員のやる気無さを加速させる。そこにあったのは、絵に描いたような悪循環であった。

結果として、ほとんどの学生にとって、一般教養の授業など無意味なものであったように思える。


アメリカの場合


では、アメリカではどうなっているか?

そのことを見ていく上で、2点ほど頭に入れておくべきことがある。まず前回に書いたようにアメリカの大学は基本的に全て総合大学であるということ。そして、だいぶ以前に書いたように専攻分野は大学に入学してから徐々に決めていくという制度になっているということ。

そのような中で、一般教養(GE)というのは、もちろんその名のごとく一般的な教養を身につけるためでもあるのだが、それだけではなく、GEの授業を通して、各学生が自分に適した分野を決めていくためのものでもあるのだ。

そのため、GEの授業も「特別枠」のようなものがあるのではなく、各分野の入門レベルの授業がGEの単位としてカウントされる制度になっている。

例えば、経済学でGEの単位を取りたければ、経済学部で開かれる授業のレベルの低い、つまりcourse number(参照記事)の低い授業を履修することになる。

そのような状況だから、GEとしてカウントされる授業を履修すると、実にいろいろなタイプの学生がいることが分かる。経済学の授業であれば、これから経済学を専攻又は副専攻しようと考えている学生もいるし、そこまでは考えてないけど、とりあえずGEの単位にもなるし面白そうだから、と考えてい履修する学生もいる。もちろん、大して興味も無いけど、GEの単位のためだけに履修する学生もいる。

でも、私の学部時代の一般教養の授業とは異なり、興味も無いのに無理矢理履修させられているような学生は一部であるために、上で述べたような悪循環は基本的に起こりえないように思える。

また、担当する教員も「一般教養用の教員」のような人がいるのではなく、各学科の教員が持ち回りで担当したりするのが普通だったりする。ただ、大きな大学だと、たまに大学院生がこれらの授業を担当することもあるのではあるが。

いずれにしても、私が思うことは、アメリカのGEのシステムは「大学に入学してから、色々な授業を履修することを通して、徐々に専門分野を決めていく」というアメリカの大学のシステムの中で、重要な意味を持っているように思える。


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3 件のコメント:

Yusuke さんのコメント...

久々のコメントです^^

実は僕、アメリカに留学する前に日本の大学に一年間だけ通って、それから退学してすぐに留学をしました。それから、かれこれ五年過ぎるのですが、一般教育の授業がめちゃくちゃつまらなかったことを覚えてます。笑
それに比べて、アメリカの大学では、自分の好きな授業を取れますし、ブログにも書いてる通り、教える側にやる気があると思う。アリゾナ大学では、その分野を専門とする教授が講義をして、週に一回のreview sessionで大学院生が講義をするみたいな感じでした。
僕の周りで、GEに対する疑問というかちょっとした不満を聞いたことがあります、”専攻と無関係の授業をなぜこんなに沢山取らなければいけない?” ぼくの場合、Intro. to Sociology, Intro. to Anthropology, International relation, Philosophy(三つのクラス)
、それに加えてあと一つ黒人差別に関する授業を取ったのを覚えてます。あとすべての生徒が二つ英語のクラスを取らなければいけません。
すべての授業楽しみましたが、GEのrequirementをちょっと緩めてもいいのではないかと思ったりします。もちろん、一人一人意見が異なりますが。
 

كازوكي さんのコメント...

現在大学1年生の者です。
僕の通う大学も筆者の言う状況で、文系科目なのに受けているのは全員工学部生です。同じような考え方の人を固め、他学部の人との交流を減らすのか……と呆れちゃいました。

謎の数学者 さんのコメント...

コメントありがとうございます。(ってこの名前なんて読むんですか?)
呆れてしまいますよね。
そして、さらに呆れてしまうのは多くの大学関係者がこの事が問題であるということに気づいていない事にあると思っています。