2010年11月11日木曜日

日米大学比較~卒業に必要な単位数

という訳で(?)、再び日米大学比較です。

今回は卒業に必要な単位数について。前に書いたように基本的な授業時間と単位数は以下のような感じ。


日本:一コマ週90分の授業が半年で2単位

アメリカ:一コマ週150分の授業が一学期間で3単位


ちなみに、アメリカにはセメスター制(二学期制)とクオーター制(三学期制)がありこの二つで微妙に異なるのだが、この違いについては別の機会に書くことにして、とりあえずここではセメスター制を前提として書くことにする。


で、日本でもアメリカもで卒業に必要な単位数は大体120~130単位。もちろん大学によってある程度異なるし、同じ大学でも専攻分野によっても異なるが、基本的にこのぐらいが卒業に必要な単位数。


ということは毎学期大体どのくらいの授業数を履修することになるか?


話を簡略化するために、とりあえず卒業に必要な単位数が120単位と仮定する事にする。


単純に4で割ると年間30単位。さらに2で割ると半年(アメリカで言う一学期間)あたり15単位ということになる。

ということは


日本:約8コマ、週90分×8=720分=12時間
アメリカ:約5コマ、週150分×5=750分=12.5時間


ぐらいを常時履修していれば4年間で卒業に必要な単位を取れることになる。時間数的にはあまり差はない。

しかし、これはあくまでも時間数であって、アメリカの場合、授業のメインは宿題(参照記事)であったり、日本でも、専攻によっては実験とかゼミとか実習とか、特種な形態の授業もあったりするために、まぁ、そう単純に授業時間だけでは比較はできないのではあるが。


が、現実はさらに複雑なものなのである。


という訳でここからが本題。


日本の場合

まず日本の場合。いわゆる日本で言うところの文系の場合、大学4年目はただひたすら就職活動に専念しなければならない現実がある。

ちなみに、私の時代は「超氷河期」と言われた時代であったため、文系の学生(特に女子大生)はそれはそれは過酷な就職活動を余儀なくされた。


そして、理系の場合、大学4年生は基本的に卒業研究のために研究室に入り、研究に従事する事になる。私も機械工学科だったために、その例外ではなく、研究室に入れられた。ちなみに、そこで行われることは卒業研究という名の下の教授の研究の手伝いであるwww。

でもその代償として(?)、文系のような過酷な就活をせずとも、就職が決まったりもする。

私の周りの友人知人たちも、「超氷河期」にも関わらず、スイスイと大企業に就職していった。


このような理由により、結局、理系だろうが文系だろうが、大学4年では授業の履修はかなり限定的になる。もちろん卒業研究も単位が出るのだが、単位数としては私の場合は4単位だけであった。


つまり、結局のところ、3年の終わりまでに、卒業に必要な単位のほとんどを取らなければならないのだ。という訳で、その事を前提に計算し直すと年間120÷3=40単位。つまり、半年で20単位。ということは、通常

約10コマ、週90分×10=900分=15時間



ということになる。



アメリカの場合

アメリカでは専攻分野に関わらず、卒業研究はoptionalの場合が普通。つまり、卒研は選択科目でやりたい人だけがやる事になる。

さらに、就職活動も、日本と異なり軽め。終身雇用なんて発想のかけらもないアメリカでは最初の就職なんて、いわば「様子見」。所詮は「最初の仕事(first job)」に過ぎず、一生その職場にいることなんてまずあり得ないため、就職活動も軽めになる。さらに「新卒」などという枠もないアメリカでは、卒業してから就活を始める人だっているぐらい。

このような事情から、大学4年目でも授業の履修は3年までと同じような感覚になる。

そんな訳で上の計算通りの履修をしていけばオッケーってこと、と思うかもしれないが、これは卒業に必要な単位数が120と過程した場合の話であり、これは最低ラインで、多くの場合は125~130ぐらいが実際のところ。ちなみにPurdueの数学科は最低124単位。多い場所では130を越えることもある。

そこで、仮に132単位とするとどうなるか?4で割って年間33単位。さらに2で割って各学期16.5単位。つまり学期平均5.5コマということになる。

例えば秋学期に5コマ、春学期に6コマ

みたいな感じで履修していけばなんとか足りる計算になる。




が、




前回書いたように(参照記事)アメリカの授業はただひたすら、宿題、宿題、また宿題。そのため、おそらく一学期間に5コマ取ったら、おそらくそれで限界。場合によっては4コマでも相当辛い場合もある。実際アメリカの大学で授業を受けた人には痛いほど分かるとは思うのだが。

そして、6コマなんて取ったら、地獄を見ることになりかねない。

つまり、卒業に必要な単位を最低の120としてもギリギリといった感じになるのに、多く見積もって130以上としたら


4年で卒業なんて無理だよ!!


ということになってしまう。



そこでどうするか?


① 5年間かけて卒業する。

② 要領良く、それほど宿題のきつくない授業とそうでない授業を織り交ぜて、毎学期なんとか履修を上手く行うようにする。

③ サマースクール(夏休みの授業)を取る。

といった辺りが、その対処方である。

日本の大学しか知らない人にはどのオプションも、いまいちピンとこないかもしれないが(特に①とか)、これらの事に関しては、別の機会に書くことにする。



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5 件のコメント:

yusuke さんのコメント...

確かに、僕が学部4年生の時に他の同期の学生は就職活動にそこまで焦ってなかったように思えます。しかも、同級生の友達二人は、Raytheonにpart timeで働きながら学校に来てたので、卒業して正式にfull timeで働き始めたみたいです。こういったことは日本ではあまりないかもしれないですね。

DAICHI さんのコメント...

はじめまして。僕は今学部4年で修士からアメリカの大学院に進もうと思っています。また、武田さんと同じように分野を変えたいと思っておりまして、このブログを読んで非常に励みになりました。ありがとうございます。
ブログを読んで疑問に思ったことがあるので質問させていただいてもよろしいでしょうか。
”理系の場合、大学4年生は基本的に卒業研究のために研究室に入り、研究に従事する事になる。私も機械工学科だったために、その例外ではなく、研究室に入れられた。ちなみに、そこで行われることは卒業研究という名の下の教授の研究の手伝いである。でもその代償として(?)、文系のような過酷な就活をせずとも、就職が決まったりもする。”という記述がありましたが、逆にアメリカの大学の学部、修士、博士の研究は教授の研究の手伝いという感じではないのでしょうか。アメリカでも修士、博士課程の研究は、教授からテーマが与えられてそれについて研究し、結果的にRAのような立場で研究するのかなと想像していたので、気になりました。
お時間ありましたらお返事よろしくお願いします。

謎の数学者 さんのコメント...

DAICHIさん、ご質問ありがとうございます。
アメリカの場合、学部では基本的に卒業研究は必修のところがほとんどなく、研究室に入るということがないのが普通です。

そして、大学院の場合は、工学や実験科学系の分野では日本と同じように研究室に入ることになりますが、その場合は研究室の教授の研究費から給料が支払われるという形になり、学費も免除されます。

つまり、日本の場合、学費を払いなおかつ無償で教授の研究の手伝いをするのにたいして、アメリカの場合は学費が免除されてなおかつ給料をもらいながら教授の手伝いをすることになります。

この辺については、このブログのページの横で紹介(宣伝?)されている「理系大学院留学~アメリカで実現する研究者への道」に詳しく書いてありますので、参照してみてください。

Unknown さんのコメント...

お返事ありがとうございます。

Ph.D.プログラムに合格することができればよいのですが、できなかった場合修士のプログラムにアプライしようと考えています。
工学、実験科学系の分野ならば、修士でも教授の手伝いをしながら学費免除+給料をもらうことができるのでしょうか。学校や研究室によりますか?それともやはり修士で給料をもらうのは厳しいのでしょうか。

よろしくお願いします。

「理系大学院留学」一度読んだことがありましたので、再度読み直してみたいと思います。

謎の数学者 さんのコメント...

山川さん。
修士のみの大学院プログラムの場合は、分野や大学院によって大きく異なるため、出願する際にチェックしておく必要があるとおもいます。例えば、学費は払ってもらいないけど、給料はでる、といったパターンもあると思います。